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フリーランスサポーター、Free’s netです。
先週金曜日、ヘアメイクとして参加している映画が、クランクアップを迎えました。
映画『THE HIMIKO~LEGEND OF YAMATAIKOKU~』公式サイト
本当に色々あって、紆余曲折の末、たどり着いたクランクアップで、感無量です。
その、最後の力を振り絞ったヘアメイク中に思ったことを、書いてみたいと思います。
●「万全なんて一生こない」
これは私が好きな漫画「左ききのエレン」からの引用ですが、職種に関わらず、仕事をしていると実感することがあるのではないでしょうか。
特にヘアメイクはじめ技術職なら、もしかしたら「純粋にクオリティーが高いと言えるヘアメイクができたのは、学生の頃、卒業制作だったかもしれない」などと思ったこと、ありませんか?
何故なら、“仕事”“業務”としてやる以上、何もかも自分の思い通りにすることはできないからです。
クライアントの要望、与えられた作業時間、周囲の状況などに合わせようとすると、妥協が必要なことも多々あります。
時間も十分あり、技術も好き放題やってよくて、モデルさんも機嫌良く協力してくれて…等々、万全の状況は、基本的には“ない”と思っておくほうが良いでしょう。
●「クソみたいな日にいいもん作るのがプロだ」
これは前章のタイトルと同じく『エレン』からの引用で、その後に続く台詞です。
主人公光一の上司、神谷さんは「どんなに最悪の状況でも、その中でひねり出したのが、お前の実力だ」と説きます。
私自身の話に戻りますが、本当にこの映画の撮影中、最悪の状況の連続でした。
ロケの段取りがちゃんと組まれていなくて、その日の撮影シーンにいなくてよくない?というキャストさんも参加しているから、一人でとんでもない人数のヘアメイクをしなきゃいけない、とか。
そのロケは後日“魔の3日間”として、キャスト、スタッフの間で強烈な記憶となり、これを契機に、きちんと予定表が作られるようになり、監督解任の一因ともなります。
そう、現場の管理ができていなくて危険、以外にも色々問題が発覚し、監督解任に至ったのですが、
動き出したプロジェクトを止められない!と、思いがけず、スタッフ一同が制作を引き継ぐことになったがために、ロケの手配だったり助成金の申請だったり、予想外のいろんなことが降りかかってきてしまったのです。
前日遅くまでオンラインミーティングをしていようが、ロケがあれば、本来のヘアメイク業務をしっかりやらないと。
それこそ万全のコンディションではない日に、でき得る限りのことをするしかない日々でした。
●酷い状況でも人は慣れる
なんかね、そんな日々だと、それが当たり前になって、どうにかこなしていけるようにはなるんです。
撮影環境も徐々に整い、気持ちにも少しずつ、余裕が出てきました。
ただ、そうすると…「必死でやってた頃のヘアメイク、大丈夫かな?」と心配になってきます。
だからと言って「私の技術が至らないので、撮り直ししてくださいっ!」などと言える訳もなく。
本当に最悪の状況でひねり出したのが、実力なのです。
撮影日数、残り3日くらいのところでやっと、そんなことを考えられるようになったので、せめてその3日間は“今の最高”を目指そうと、頑張ってみました。
そして思ったのは、“万全だからできるレベル”を底上げすることの必要性です。
●プロデビューはゴールではない
これはどの仕事にも言えることで、活動を続ける限り、進化し続けないといけません。
そうすることで、経験してきたどの現場よりキツい!という場所に放り込まれても、対応できる幅が増えます。
そして“対応できた”ことが自信に繋がります。
“対応できる”ために必要なことは、ひとつではありません。
練習によるスキルアップ(技術力の底上げ)しかり、合理的に進めるために切り捨ててよい部分を見極める目しかり。
現場に合わせた柔軟な対応は、練習で身に付くものではありません。
学生さんやプロになりたての方は、これからきっと「嘘だよ?!」と言いたくなる経験の一つや二つ、することになるでしょう。
ベテランの方は恐らく、そこでめげずに耐え抜いた方がほとんどです。
「もう無理!」と思ったときには、先輩がどうやって切り抜けて、乗り越えてきたかを、聞いてみるのもよいかもしれませんね。
私も今回、大変だった分、かなり色々な経験ができたので、お答えできることが増えたはず(笑)
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