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フリーランスサポーター、Free’s netです。
基本的にこのブログでは、ヘアメイクを目指す学生さん、ヘアメイクはじめ、美容業界に入ったばかりの方、独立してフリーになりたての方の、お役に立つ情報の提供を意識しています。
夢を持つのが良いこと、みたいに言われがちな昨今ではありますが、目指すものの良いところしか見ないのは、夢ではなく現実逃避だと思うので、厳しいところもお伝えするようにしています。
美容業を“お洒落でカッコいい仕事”としか思っていないと、就職後のギャップで、あっという間に夢破れることになり、雇う側、雇われる側共に、無駄な時間を過ごすことになります。
あなたは覚悟を持って、夢への一歩を踏み出せるでしょうか。
●根性はありますか?
…なんて、訊かれることはないですよね。
今の時代の空気や若い方の様子を見ていると、“優しいなぁ”と思います。
優しいことはもちろん、良いことなのですが、半面、心配にもなります。
昔に比べ、学校などでは、厳しすぎる指導には批判が集まるなど、理不尽に怒られる、という場面は少なくなっています。
ところが、美容業界では、理不尽に怒られた話をよく聞く気がするのです。
例えば、元同僚からは、お客様の前で先輩にダッカール投げつけられた!という話を聞きました。
何故、そんなことが起こるのでしょう?
●先輩方はそういう指導を受けてきた
ダッカールを投げる人は極端な例ですが、美容の世界って“厳しくて当たり前”という傾向があります。
サロンの美容師さんだと、開店前や閉店後のレッスンは強制参加、しかもお給料は発生しない、という話はよく聞きますね。
今回、このテーマで書こうと思ったのは「レッスンに参加しない若手。別にいいけど。自分に帰ってくるだけだから」というようなtweetを見たからなんです。
これ、正直、どっちが正しいのか、判断しかねてます。
技術職である以上、技術力の向上は必要不可欠です。
かといって、営業時間の前後の時間まで、無償で拘束する権利は、一般的な会社にはありません。
でも、いつのまにやら、それが業界の常識になっていて、美容師の友達がいる他業界の方も含め、“美容師は低賃金で拘束時間が異常に長いのが当たり前”と思われてきました。
サロンに就職せず、ヘアメイク事務所とかに入れば関係なくない?と思われるかもしれませんが、サロン美容師からヘアメイクに転身した先輩などがいると「最近の若い子は努力が足りない!」と思われるし、場合によってはお説教食らったりします。
何故なら、先輩にとっては、プライベートの時間を削って練習することは、特別な努力でもなんでもない、普通のことだからです。
●どこで現代の基準に切り替えるのか
他方、一般のオフィスワークでは、“ブラック企業”というワードが拡がり、サービス残業や休憩時間を返上して業務にあたる、などは少なくなってきています。
この風潮が更に広まれば、「美容師さんはカラーの放置タイムに、立ったまま5分でおにぎり頬張る」というのも、許されなくなるかもしれません。
そうなると、アテンド有のブライダルヘアメイクさんの、「挙式中のアテンドをアシスタントさんにお願いして、その15分の間に、色直しの準備して、お手洗い行って、残り時間で食事」みたいなのも、見直さなくてはいけません。
では、どうやって解決するのか。
サロンの美容師さんなら、「何時から何時は◯◯さんはお昼休憩だから、その時間帯はその人がいないと思って予約を取る」という感じになるでしょう。
ブライダルヘアメイクの例なら、ヘアメイクと別に介添さんがいれば、披露宴前半でお色直しの準備も食事も、ちょっと休憩もできます。
しかし、その時間帯の予約をお断りすれば、売上が下がるかもしれません。
また、介添さんを入れれば、人件費が上がります。
なので、会社の経営まで考えると、さくっと一般企業のような勤務形態に切り替えるのは、難しいと思われます。
●それでも変革は始まっている
長年、厳しいレッスン、ハードな勤務形態が当たり前だった美容業界ですが、若い美容室オーナーなどを中心に、業界の常識を見直す動きがあります。
ただ、やはり、長くそのやり方でやってきたものを変えていくには、それなりの時間がかかります。
なので、しばらくは厳しい仕事だし、他の業種と比べれば、ハードな仕事かもしれません。
ヘアメイクが好き、だけでは耐えきれないかもしれませんが、いずれ改善されると思えれば、乗り越えられるのではないでしょうか。
逆に、先輩、上司の皆さん、自分達が苦労してきたから、後輩たちも同じ苦労をしなければならない、ということはありません。
後輩や、彼らが担当するお客様のためを思って、厳しくすべきところもあります。
私もヘアメイクスクールの講師時代、就職後に厳しい先輩の指導で挫折することがないように、学生のうちから厳しくするようにしていました。
美容学校を出る二十歳までの環境が、自分達の時代とは違うことを念頭に置き、いかに若手をリードできるか。
きっと、ベテラン勢にとっては、そこが努力や工夫のしどころです。
根性論だけではない、業界を良くしていく方法を、指導する側される側、それぞれの立場から、見つけていきましょう。
