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フリーランスサポーター、Free’s netです。
今、私はヘアメイクとして、映画の撮影に参加しています。
その中で“これってこの仕事の醍醐味だな”、と思うことがあったので、お伝えしたいと思います。
●映画の現場は最高のチーム戦かもしれない
普通の映画は、監督はじめ、色んな役割の人がいて、それぞれの力が集結してでき上がります。
以前、ある人気女優さんが音声さんだか照明さんだかのことを、「なんでその仕事を選んだんだろう?」かなんか言って、炎上していましたが。
いや、本当、何でだろう?って、思いますよね。
私は「演じる」というのを仕事にしてる方に対して、それをよく思うし、よく質問します。
だってなんか、大変そうじゃないですか。
台詞覚えるのだってそうだし、覚えて読むだけじゃ「演技」にならないし。
先日のうちの撮影も、女優さん達が雨の中、びしょ濡れになって演じていました。
それでも、その大変さを凌駕する喜びとか、達成感があるから、その仕事を選んで、続けてるらっしゃるんですよね。
実は映画の仕事は初めてなのですが、作品撮りのモデルをしてくれる女優さんなどにも、「何で?」を訊くと、それぞれの答えが返ってくるので、興味深いです。
同じように、カメラで撮影する喜び、音を捉える喜び、ライティングで被写体を美しく照らし出す喜び、などがあるはずで、でも、私にはわかりません。
機会があれば訊いてみたいものですが、前述の人気女優さんも、そういう気持ちで発言したんじゃないのかな、と思います。
お互い「何故それを選んだのか」はわからなくても、同じように何かを極めようとする姿に共感し、リスペクトし合えるのが、クリエイターの繋がりというものかもしれません。
そして、それぞれの追究した技術を持ち寄り、作り上げられるのが、映画作品ではないでしょうか。
●その中で、ヘアメイクにできること
各ジャンルのプロが、技術や知識を提供して、一つの作品を作り上げる中で、ヘアメイクにできることはなんでしょう?
もちろん、役者さんを普段の姿から、役柄に相応しい姿に変えることが基本ですが。
役柄に相応しい姿、も、特に監督が求めているものがあるはずで、お互いの見解を伝え合い、擦り合わせていく作業が必要だと思います。
また、ギリギリまで台本を確認したい人、リラックスしておいてカメラの前でスイッチを切り替えたい人、既に役に入っている人など、色んなタイプの役者さんがいるでしょう。
ヘアメイク中は、役者さんたちがすんなりと役に入れるように、それぞれに合わせた対応が必要だと思います。
どの仕事でもそうですが、ヘアメイクが自分の意思、意向だけで施術をすることは、ほぼ、ありません。
最低でもお客様と二人以上で作り上げるものです。
●だから、対人スキルが必要
…と言われても、ヘアメイクはやりたいけど、対人スキルに自信がない、という方もいるでしょう。
ご安心ください、私もどちらか言うと、コミュ障です(笑)
でも、映画でもスチール撮影でも、“何かを創りたい人達”の集まりです。
世間的には“変わり者”も多いです(笑)
そういう中だと、同い年だからと無作為に集められた学校のクラスや、一般企業の組織内より、人間関係が楽になる方もきっと多いと、私は思っています。
映画の話に戻ると、監督、脚本家などと、その役柄、そのシーンでの見せ方などを確認し、役者さんの集中を邪魔することなく、「役柄を生きる」お手伝いをするのが、ヘアメイクの仕事だと思って、仕事をしています。
もちろん、初めてのことで上手くできているのかは、わかりませんが。
でも、それで、監督や脚本家の脳内にしかなかったストーリーが具現化し、肉付けされ、厚みを増して、一本の映画が仕上がったときには、めちゃくちゃ感動するだろうと思います。
●才能×才能で限界突破!
自分以外の人が書いた物語に登場する人の姿は、自分が想像したこともないものかもしれません。
それを、いかにそのキャラクターを産み出した人のイメージしているものに近づけるか。
思いがけない紆余曲折を経て、やっとでき上がるキャラクタービジュアルもあります。
そもそもスタート地点が自分の発想外なのだから、今まで自分がやってきたことだけでは、対応できないのかもしれません。
逆に、役者さんの演技によって、照明や音声との相乗効果で、自分のヘアメイクがとても良く見えることもあるでしょう。
このように、誰かとの共同作業だからこそ、自分の限界以上の力を出せるのが、ヘアメイクの醍醐味だな、と改めて思った、という話でした。

一つの作品を作り上げる喜び