どうやら、政府が業界ごとのフリーランスの最低報酬を決めようという動きがあるようです。
美容業界にまで規制が入るのかは不明ですが、気には留めておくほうが良いかもしれませんね。
しかし、労働法で守られない代わりに、自由な働き方を選んだ方にとっては余計なお世話だと思う人もいるのでしょう。
このニュースが出て、反対していたり、現状に即していないと考えるフリーランサーもいるようです。
ですが、フリーランサーを使う側と業務を請け負うフリーランサー、双方がしっかりした基準を持っていないと、不当に労働搾取されるという恐れはあります。
特に独立して間もないと、価格設定に迷うこともあるでしょう。
そんな時、一般の労働者と同じ、最低賃金を当てはめて良いでしょうか?
フリーで長年やってきた方などからすれば、当たり前レベルの話ですが、答は勿論、NOです!
最低賃金は時給を貰って雇用されている労働者が、最低限生活できる基準だということはわかりますね。
では、企業に雇用されるのと、一事業主として業務を請け負うのには、どんな違いがあるでしょうか。
このサイトはフリーヘアメイクのためのサイトなので、ヘアメイク業務においての具体例を上げますね。
まず、一番わかりやすいのは、材料費。
メイク道具(カラー物)などは、会社が支給しないこともあるでしょうが、スタイリング剤やピン類などは会社のものを使えることが多いのではないでしょうか。
また、ホットカーラーやドライヤーも、会社のものを使えることが多いと思います。
一度使ったからといって減るわけではない道具類も、使うごとに劣化したり、故障の可能性が上がるので、その買い換えやメンテナンスの費用がいずれ、かかってきます。
その他にも、会社なら支給(or貸与)される制服の代わりに、黒スーツを購入したかもしれません。
そんな、現場でかかる費用だけではありません。
その仕事を請けるためにやり取りした、電話やメールの通信費、資料をプリントした用紙代、インク代、電気代。
もっと言えば、そのやり取りをしている時間分の時給。
そう、時給を考えるなら、セッティングや撤収、ブライダルなら集合写真撮影時のチェックがあって、待機する場合もあります。
ということは、1技術いくらで契約していれば、待機時間などの拘束時間は言わばタダ働きです。
(経験上、待機をお願いされる事務所さんは、技術単価を高めに設定してくれている気がします)
更には、健康保険や年金なども、労働者が最低賃金から支払うのは自己負担分のみ、対してフリーランサーが報酬から支払うのは誰も補助をしてくれない、全額なのです。
思いつくだけでこれだけの差があるのですから、その分の費用を上乗せしないと、最低の生活はできないということになります。
例えば1技術1500円を頂いたとして、ヘア、メイク共、各30分で仕上げるとしましょうか。
30分仕上げで1時間、2人施術で1500✖️2=3000円。
時給3000円って、何の経費負担もないアルバイトやパートなら、なかなかの高額ですよね。
私は大阪府民なので、最低賃金は909円。
3倍も貰える!と一瞬嬉しくなる数字ですが、上記の賄わなければいけない費用を考えた時、さほど凄い金額ではなくなってしまうのです。
因みに私は、個人で請ける撮影なら、ヘア、メイク各5000円、単純計算なら時給10000円で設定しています。
とんでもない高額にも見えますが、交通費、撮影終了までのお直しやサポートを含んでいるので、時給換算すれば3000円程度、事務所を通して1技術1500円と同程度になります。
これからフリーヘアメイクでやって行こうという方、依頼された業務で提示される金額を了承するかどうか迷う時、こちらから見積もりを上げる場合の金額設定で困った時など、参考にしてみてください。
またお仕事情報で、お仕事を請ける請けないに関わらず、情報をチェックするのも良いと思います。
依頼主様も、スタッフ確保のためだけではなく、業界の進展のために情報共有にご協力くださいませ。