無事、成人式も終わり…と言いたいところですが、今年はあってはならない事件が起きてしまいました。
一生一回の成人式、晴れ着を着て、成長した姿を友達や家族や、大切な人に見てもらいたいというお嬢さんたちの気持ちや、20年もの間、大事に育てた娘の晴れ姿を楽しみにしていた親御さまやご親族さまの気持ちを踏みにじる事件です。
たった1社の不届きな行為のせいで、多くの同業者が悲しい気持ちになったのではないでしょうか。
このサイトおよびブログは、これからヘアメイクになろうという学生さんにも見ていただきたいと思っています。
だからこそ、ベテランの方にしたら今更、と思われるような基本的なこと、心構えをお伝えしたいと思います。
ヘアメイクの仕事、特に一般の方向けとなると、中心になるのはブライダルや成人式、卒業式といった慶事、記念の日のお支度でしょう。
その際に、決して忘れてはいけないことがあります。
その1日は、お客様にとって人生でたった1日の大切な日だということ。
何を当たり前のことを、と思うかもしれません。
けれども、その1日の重みを、本当に理解できているでしょうか。
そんなことを思うのには理由があります。
卒業式業務の際が顕著ですが、自分のギャラを稼ぐことが優先になっているとしか思えない、雑な酷い出来のヘアセットを見かけることがあります。
ヘアメイクさんが得意げに、いかに早く仕上げたかを話していることがあります。
早く仕上げることも能力ですし、早く仕上げた方がその、酷いヘアセットをしたとも限りません。
けれども、最近は出来高の為に粗い仕事をするヘアメイクさんがいることが、一部で問題になっているとも聞きます。
また、ブライダル関係の方々と話していると、何故そこまで、新郎新婦の我儘を聞いているのか、と思ってしまうことがあります。
婚礼全体でいただくお代金は、会場にもよりますが数百万円といったところでしょうか。
その金額のために、多少の無理は受け入れるのだろう、その数百万円もぼったくりだ、と言われてしまうかもしれません。
ただ、私の知る限りですが、そんな悪徳な会場さんや業者さんに会ったことはないですし、心からお客様の幸せに貢献したい方でなければ、心身ともに保たない、本当にハードな仕事だと思います。
私たちにしてみればルーティンともなってしまう、毎週のように行われる婚礼ですが、お客様にとっては一生に一度だけ。
成人式や卒業式も同じです。
その期待や夢や憧れ、何一つとして台無しにすることはできません。
けれども、ほんの少しのミスで、その思いを裏切る結果になることも、残念ながら、あります。
ミスを起こしてはいけない、という緊張感、不本意ながらミスをしてしまった後の後悔や反省や申し訳なさなどに、押しつぶされそうになります。
担当の挙式の前日は、緊張のあまり眠れないというヘアメイクさんもいます。
プランナーさんや司会者さん、カメラマンさん、音響さん、お花や衣装、お料理、サービスなど、他の担当の方々も恐らく同じだと思います。
それがお一人お一人の、記念日に携わる責任です。
しかもそれは、お客様からの「ありがとう」のひとことや、ヘアメイクをさせていただいた方やそのご家族の元に写真がずっと残り、幸せな思い出として時々開かれその日のことを語り合う時に、彩りを添えるのだという空想くらいでしか報われません。
それでもいいや、と思えるタフなマインドを育てること、誰かの幸せのために自分にできる限りのことをするのだと、覚悟を決めること。
それができないなら、記念日に携わる資格はないのかもしれないと思います。
そしてそんな気持ちで成人式関係のお仕事をされている方は、冒頭の事件を聞いて、憤りはもちろんですが、悲しくなったのではないかと思いました。
ヘアメイク、と、ブライダルヘアメイク、はその覚悟の要不要によって、全く別の仕事だといっても過言ではありません。
少なくとも成人式や卒業式のような特別な日に関わる時だけは、そのような覚悟を持って仕事に臨んでもらえたらと思います。
※私がブライダルを中心にしているので、こういう切り口での話になってしまいましたが、普段、別のジャンルで活躍されている方などは、また違う観点でヘアメイク、仕事に対する心構えを語られるかもしれません。
学生さんなどは、機会があればいろんな方のお話を聞けると良いですね。